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新規事業の立ち上げ、特に仮想通貨・ブロックチェーン・xTech領域の支援を行います。

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ブロックチェーンで事業やりたい時の技術フレームワーク

おかげさまで多方面の方々からお声がけをいただき、さまざまなブロックチェーン案件のご相談をいただいております。いくつか相談に乗っているうちに、ある程度決めなければいけないこと・・技術が絡んだ取捨選択をある程度フレームワーク化できたので、あらためて整理したいと思います。

 

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上図のフレームワークは、新規でやりたい事業にブロックチェーンをどのように活用するか、そのPros/Consを考えるために使います。

順に解説していきます。

1. 資金調達の有無と手法

まず、ブロックチェーンだからといっても必ずしもICOしなければならないわけではありません。現時点では米国はもとより日本国内でもしっかりとした規制が存在するので、レギュレーションに合致するICOには、最初の持ち出しが少なくとも数億円単位で必要になります。

かといって、海外のその他の国でICOをやっても、人脈がないとマーケティングコストに見合う売り上げが上がるとは限りません。さらに、大手企業の場合は監査会社から扱えないのでちょっと・・と断られるケースもあるでしょう。

それでは、、と生まれたSAFT(Simple Agreement for Future Tokens)などのように、将来トークンを渡す契約の元資金を調達するケースもあります。これはSAFEやJ-KISSのような調達方法に近い形態といえます。最近話題になっているSTO(Security Token Offering)も多くの場合は、機関投資家を相手にすることになるでしょう。

2. トークンエコノミーの適用方法

次に、生み出したトークンを仮想通貨のように流通させるかどうかです。たとえば、良質なコンテンツを生み出した人にプラットフォームからトークンが分配されたり、シェアリングエコノミーのような事業内通貨として用いるエコシステムを指します。

これらプラットフォームトークンを提供する場合、世界中の取引所に上場させて変動相場制にするのか、円またはドルなどのように価格があまり動かないもの、はたまたDAppsを稼働させる基軸通貨(ETHなど)にペッグして安定させるのかなど、さまざまな選択肢があります。

変動相場制のメリットは、人気が出て時価総額が上がると大きな利益が期待できる点ですが、一方、デメリットとして関係者全員が変動相場の会計ルールを背負うことになり、関係者の負荷が高い点、また、何かを販売するときはおそらく販売主の国の通貨ベースで売価が設定されることから、買う側が混乱する可能性があります。

また、通貨としての流通ではなく、DAppsゲームなどでERC721トークンを利用するケースが増えています。これはNon-fungible token(NFT)と呼ばれ、簡単にいうと数量が常に1であるトークンのことです。

例えば、CryptoKittiesが有名ですが、特定のパラメータを持った猫はCryptoKittiesの世界に1つしか存在しません。そのため、外部の仮想通貨取引所に上場させることができません(余談ですが、このように通貨のような流通はさせないものの、資産価値として保存する利用方法が増えたため、総称として最近では暗号資産(CryptoAsset)と呼ぶことも増えています)。

3. チェーン技術の選定

トークン設計とも密接に影響しますが、どのブロックチェーンを選択するかも相応の考慮が必要となります。パブリックチェーンに載せる場合は、スマートコントラクトのようなプログラムを動作させるEthereumやNEM、EOSといった選択肢があります。また、仮想通貨メインであるBCHやBTCでもアプリが生まれています。

これらのパブリックチェーンに参加するには基盤となるブロックチェーンの基軸通貨を購入する必要があります。例えば、Ethereumは普及しているが、その実行速度の問題や手数料を要する点、EOSだと高速かつ手数料がかからないけど、国内ユーザーがまず購入できないなど、各ブロックチェーンにはさまざまな特徴があります。

また、B2Bで完結するのであれば、Hyperledgerなどのプライベートチェーンやコンソーシアムチェーンでもよいでしょう。

www.hyperledger.org

既存のブロックチェーンでは解決できない問題が存在する場合は、独自で開発する必要に迫られます。既にあるチェーンからフォークして一部の動作を変えることもあるでしょう。

ただし、自前で開発する場合は、チェーンを維持するノードをはじめ、各クライアント向けのウォレットやAPIなど、多くのリソースが必要となる点には注意が必要です。例えば、ERC20のトークンでICOして資金調達後、自社チェーンが完成次第そちらに移行すると宣言しているプロジェクトもあります。

4. データ書き込み者の信頼性担保

「ブロックチェーンは改ざんが難しいから堅牢なんですよね」。

はい、その通りです。裏返すと嘘の情報や記入ミスも取り消したり編集することは基本的にできません。多くのプロジェクトでブロックチェーンの世界とその外側の境界点を繋ぐ部分が脆弱になります。

例えば、「商品の口コミを共有しよう!」といったブロックチェーンプロジェクトがあった場合、攻撃やトークン取得を目的とする、誠実ではない書き込みを行うユーザーがでてくると、途端にプロジェクト全体が信頼できないものになります。一方、ビットコインでは、偽情報や間違った情報を送信すると自分のお金が減るだけなので、宛先の記入ミスで自分が困ってしまうことはあっても、間違った送金先をわざわざ書き込むインセンティブは基本的にありません。

 

これら現実世界の信頼性をどう担保するのかを「オラクル」と呼びますが、参加者のインセンティブモデルも含めて難易度が高いポイントとなります。ちなみに、プライベートチェーンやコンソーシアムチェーンでは、信頼できるメンバー(企業)のみ書き込み可能にすれば大きな問題にはなりませんが、それでも記入ミスがあったときのフローは整備しておく必要があるでしょう。

 

本項で述べた4つのポイントを事業立案時によく議論することで、ブロックチェーンのプロジェクトはより本質的なビジネス面や開発に集中することが可能になります。もちろんこれ以外にも法制面や会計面、決済手段など大変なことも多いのですが、最初の第一歩を踏み出すにあたりご活用いただければ幸いです。

 なお、当社ではブロックチェーンプロジェクトのご相談も随時お受けしています。まずはちょっと壁打ちしたいという場合も、スポット(2h程度/10万円・都内)で対応していますので、お気軽にご相談ください(contact@uplucid.com)。