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新規事業の立ち上げ、特に仮想通貨・ブロックチェーン・xTech領域の支援を行います。

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新規事業コンテストで見た、誰も語らない一つの真実

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 独立前の会社員時代には、大小さまざまな新規事業コンテストを経験してきました。多くは応募する側でしたが、いくつかのメンターも担当しました。多くの場合私の案は選ばれなかったのですが(笑)それ以外にも「これはいい案だ」と思うものがほとんど落選したり、「これはどう見ても穴だらけだから駄目だろう」と思うものが通ったり、納得感が少なかったことだけはどのコンテストも共通して覚えています。

 

コンテストの採点基準

ある日、当時の社長と会食の予定があり、たまたまその日終わったばかりの新規事業コンテスト一次予選について聞いたところ、意外な答えが返ってきました。

「いくつかいいのはあったけど、ほとんどはだめだね。そもそもプロポーザル提出するだけで新規事業を任せてもらおうと思ってる次点で落選だよね。

「え!それひどくないですか?会社として新規事業案出せって言っといて、案出すだけじゃ落選って。」

「いやいや、事前に相談を受け付けていますって書いてるじゃん。それすらしてこず紙一枚出して終わった気になってる時点で事業責任者の素質ないよね」

 

これは驚きました。つまり、新規事業コンテストは「事業 案 」だけでなく「事業 責任者」についても見てるのかと。そんな単純なことすら分かっておらず、その視点でみると過去の予選通過者がすべて「それならわかる!」と手のひらを返すように納得がいきました。

たしかに、自分の案はアイデアレベルで「会社はこういうことをやった方がいいと思います」「面白いと思います」という自分でケツを拭く覚悟のないものが多かったように思います。それに比べ過去の会社でも予選を突破していた人たちは、部長や社長に相談してアイデアを磨いたり、自分がいかにこの事業をやりたいかを「0次予選」でプレゼンしていたのです。

 

なぜ事業責任者が大事なのか

その社長は続けました。

「やっぱりさ、みんなが必死に頑張って稼いでくれたお金を何億も投資するわけじゃん」

「しかも新規事業ってうまくいかないことだらけだから、なんかあった時にいろんな方向から批判が飛んできても応援したいわけ」

「でも当人が、軽い気持ちでうまくいかなかったらすぐ逃げ出すようだと、こっちも応援できないというか」

「だから、本気で本人がやりたい、成し遂げたいかを確認するのが僕の選考ポイントなんだ」

 

「なるほど」と納得するとともに、私にはそこまで成し遂げたいことがまだないから難しいなと思いました。この点は、会社内の新規事業コンテストだけでなく、ベンチャー投資を受ける場合にもある程度当てはまるのではないかと思います。投資家を「共犯」に仕立て上げられるか。事業責任者の最初の一歩だと思いました。

 

新規事業は不確実性が高い

 新規事業のご相談を受けていると、このエピソードを思い出すことが良くあります。自分たちがやりたいことを成し遂げるために起業する場合は、背水の陣で逃げ場がないことも多いのですが、資本に余裕がある中で「こういうことやってみたいんだよね」というアイデアベースから始まる場合は注意が必要です。

 一方で最近サロンにも参加したのですが、連続起業家の正田圭氏の著書をはじめとして「そこまで必死にならなければいけないのか、もっと普通にトマトを売るように起業もできないか」という意見もあります。

 この違いを考えたところ、やはり新規事業の不確実性の高さがポイントになってくると思います。例えば、Amazonでkindleを紹介するアフィリエイトサイトを運営する。といったよくあるビジネスの場合、事業構造は比較的単純です。

 集客して、Amazonで本が売れて、手数料が入ってくる。これらのKPIを伸ばしていくことは自明です。成功例もたくさんあるので、あなたがインターネット上で小さなサービスでも運営したことがあれば、かなり精度高く成果を予測できることでしょう。いわゆるスタートアップではなくスモールビジネスです

 しかし、これがまだ市場で成功例の見たことのないようなジャンルであれば、あるいは事業責任者が経験したことがない分野であれば不確実性はかなり高まります。先の例でも、ブログの開設の仕方もわからない、SEOも広告の出し方もSNSマーケティングもやったことないといった場合、不確実性は急上昇します。

 

不確実性を取り除くロジックと情熱

 リクルートでは「ロマンとそろばん」などと言っていましたが、このような不確実性の高い事業環境を乗り切るには、わからないところを徹底調査して解像度高く数値予測を積み上げていくことと、それでもわからない未知の領域を、周囲がついていきたくなる大きなビジョンで走り抜けることの両方が必要になります。

 気持ちだけでは空回りしたり、アウトプットの質が低すぎる、だまされるといったことになりますし、ロジックだけでは不測の事態が起きた時に周囲の協力を得られずおとなしく撤退となってしまいます。

 だから私は、新規事業は不確実性を取り除く営みだと最近は言い続けています。

 調査はもちろんやった方がいい、インタビューにも言った方がいい、類似の事例も、必要な法律や技術の調査ももちろんやるべきです。そうやって事業に対する解像度を上げながらも、いまだ見えない未来にたいしてもがき続ける情熱こそが、新規事業の不確実性にうちかって成功するために必要なエンジンといえるでしょう。