UpLucid Inc.

新規事業の立ち上げ、特に仮想通貨・ブロックチェーン・xTech領域の支援を行います。

新規事業の立ち上げ、特に仮想通貨・ブロックチェーン・xTech領域の支援を行います。

内製化のワナか。新規事業における「壁打ち」という役割のジレンマ

事業会社などでIT系の新規事業をやってみたい場合に、実は見逃しがちになっている役割に「壁打ち」があります。壁打ちとはボールの練習のごとく、誰かに事業案をぶつけてみて気になった質問やアイデアを返してもらうことです。

思い付きのアイデアを発展させたいときや、何度も考えたものであっても誰かに話してみることで新しい気付きを得られたりするなど、新規事業の立案プロセス上とても大切なのですが、企業の中ではその役割があまり供給されず、結果的に事業案の質が上がらないという問題になっています。

f:id:ku-suke:20181106001642j:plain

その理由を知人と「壁打ち」してみました。

内製化の広がりによりセールスエンジニアが不在に

壁打ちをしないとなかなか地に足の着いた事業企画にならないのですが、その一因に内製化の広がりがあると思います。もちろんTwitterなどでの求人を見まわしたり実際の相談現場を見た範囲なのですが、以前は開発会社に外注してたけど、昨今の流れで内製化を進めているようなケースで問題が顕在化しやすいようです。

内製化に踏み切る場合は、ド新規の場合もありますが徐々に既存のシステムをリニューアルしながら内製化していく例も多くあると思います。どちらにせよプロジェクトに紐づいた人員を社内で抱えている状態といえます。

 

旧来のように開発会社や代理店に発注している場合、彼ら(主に営業担当やセールスエンジニア)に「今度、こういう新規事業やってみようと思うんだけど、どうかな」という相談をすることができます。基本的に無料です。

そこで、目指すゴールや企画概要を説明すると、「その情報ってどこから集めるんですか」「ターゲット狭すぎて成り立たないのでは」「その要件フルフルで実装すると1億でも足りない」などと質疑応答があり、企画がブラッシュアップされます。

 

ところが、内製組織の場合、非エンジニアの事業企画者が相談する相手が見つかりにくいといった課題があります。IT系新規事業の場合「どう実現するか」も割と大きなウェイトを占めるのですが、既存のプロジェクトチームのメンバーに時間をとってもらうのも難しいことが多いためです。何度もふわっとした相談をしたら、社内のエンジニアに煙たがれたという話もちらほら聞きます。どちらの気持ちもよくわかります。

 

予算がつく前なので外注しづらい

では、壁打ちだけを外部に頼むかというとそれも難しいです。これには二つあって、開発会社は自社の開発リソースを使ってもらうバーターで無料で壁打ちに参加しているので、お金にならない壁打ちに時間を使っている余裕はありません。

 

ではお金を払えばいいじゃないか、となるのですが、一方で企業側も「まだプロジェクト化していない」ものに予算が付きにくいものです。

「プロジェクト予算としては壁打ち外注しにくいが、新規事業をやることは決まっているので、プロダクトマネージャを採用して人件費を確保するのはオッケー!」

という理論になる現場は少なくありません。当社も新規事業が最初の一歩を踏み出せるようになるまでの、暫定プロダクトマネージャを引き受けることがあります。また、若いスタートアップには業界貢献のためお茶しながら無料で壁打ちさせていただくこともあります。

 

だれが壁打ちを提供しているのか

「新規事業・壁打ち」で検索すると、最初の方はC2Cスキルシェアサービスなどが目立ちます。需要が多いのか供給が多いのかはわかりませんが、一定のサービス形態として定着しているようです。

ほかには、ベンチャーキャピタル(VC)が壁打ち相手になる場合もあるようです。これは前述の外注に近く、よい案件化すればVC自体の利益につながるので自然な流れですね。

また、イベントのような壁打ち会もあるようですが、あまりにも利害関係のない半パブリックな場で壁打ちをするのも、情報漏洩を気にして話せない部分が増えるかもしれません。ただし多くの場合アイデアに価値はあまりなく、実行力がすべてと最近では言われていますが。

業界が近すぎる人がいい場合と、まったく分野外の人とそれぞれ適しているケースも違うでしょう。業界外の人は業界の既成概念がないために、中にいると気づきにくいアイデアや意見が出る場合がある一方、生かしやすい強み・リソースも見えない可能性があります。逆もまた然りです。

 

結局、壁打ちってどうするのがいいの?

このようにいろいろと「壁打ち」について考えていたのですが、理想としては大きめの企業であれば社内の新規事業アイデアソンや、メンター会のようなイベントを持つことが有用です。リクルートにはグループ横断の新規事業をやりたい人が企画を持ち込んでブラッシュアップする仕組みがありました。

あとは内製メンバーや隣のプロジェクトにいるエンジニアに声をかけるのも、外注に相談するのとはわけが違うことを理解して、スタバやビールをご馳走しながら話を聞いてもらうとよいでしょう。

それよりも小さい、また組織全体を巻き込むのが難しい場合は、前述のスキルシェアサービスを自腹で支払うか(涙)せめて予算の取り方をステージ制にして、大きな予算を取りに行くための、事前の調査費用というかお小遣いを獲得できる仕組みを提案してみましょう。

Adobeでは2015年にKickBoxというプロジェクトを実施しました。これは事前に1000ドルがチャージされたクレジットカードを渡され、この範囲でプロトタイプの作成や実験する費用に充てられるというものです。

news.mynavi.jp

今年ももうあとわずかですが、みなさまの新規事業がうまくいくことを願っています。